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業界トピックス

更新:2016/12/19

軽くて強い素材
―燃費規制と車体軽量化

求められるマルチマテリアル化

 燃費規制強化が必須の輸送機器業界は、軽量化が鍵を握っています。とくにエンジン車は、欧州を先頭にCO2規制の厳格化が継続的に進み、「年率4%程度の比率で強化され、2030年には60g/km(燃費費38km/L)程にまで到達する見通し」(新エネルギー・産業技術総合開発機構)です。


 エンジン車で1.0km/Lの燃費向上を実現するには、「100kgの軽量化が必要」と言われています。従来の延長上にない画期的な軽量・高強度・長寿命の材料が求められ、チタン、マグネシウム、アルミ、複合材料、鉄鋼など、各部素材に最適な材料を採用する「マルチマテリアル化」の動きが加速しているということです。


 とくに車体軽量化の動きが顕著なのは、フレームや外板系といった「構造部」と言われる部分。その重量は、2010年以降年率3.5%程度で低減しています。この流れが続くと、14年比で20年に約19%、30年に約43%の軽量化が進む見通しです。従来材料であるハイテン材からの切り替えのほか、部位別に軽くできないか新素材導入の検討が各所でなされています。


 素材の中でも、「最も軽量化効果が見込まれる」と言われているのは炭素繊維強化プラスチック(CFRP)です。鉄の1/4の重さながら、強度は約10倍。すでに航空機業界では、ボーイング旅客機787型が、アルミの使用率(重量比)を大きく減らした代わりに、構造部材の50%をCFRPなどの複合材料に切り替えました。


 切削工具メーカーもCFRPや耐熱合金に目を向けており、「新素材・難削材は航空機産業をはじめ様々な産業で広く使用されており、今後も拡大が期待される」「航空機業界を中心に使用量・加工量が急増している」との見方が強いようです。


(写真=チタン合金を削って作られた航空機部品(ブリスク))
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