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業界トピックス

更新:2016/9/15

BCP策定、機運上昇さらに
―大企業60%・中堅企業30%に拡大

サプライチェーンの強靭化につなげる

 2014年6月に国土強靭化推進本部が決定したアクションプランで、2020年までにBCP策定率を大企業100%・中堅企業50%まで拡大する目標を掲げています。今年7月には「レジリエンス認証」として、BCP策定企業の中から事業継続力に優れた44団体が発表され、国・自治体を挙げた取り組みに拍車がかかっています。


 BCPは、有事発生時でも揺るがないサプライチェーンの構築にも重要な役割を果たしています。慶応義塾大学・理工学部の松川弘明教授によると、サプライチェーンの強靭化に必要なポイントは「ネットワークと運営の見える化」。その理由を次のように話しています。


 「調達先の調達先、さらにすべての調達経路を知っている人は誰もいません。ボトルネックとなる企業が途絶したとき、サプライチェーン上のすべての企業が影響を受けてしまう。その大きさは間接被害や直接被害の10倍にもなります」。


 もし調達先が途絶しても見える化ができていた場合、「単価の高いバックアップサプライヤーに緊急発注して生産活動を継続できます。しばらくの間、利益が小さくなっても、途絶した企業が回復すると、バックアップの発注量はゼロになり、コストは下がります」とのこと。


 名古屋工業大学大学院・工学研究科の渡辺研司教授は、企業単独のBCPでは「取り組みに限界がある」として、企業間、行政・インフラ関係との連携で、各社の事業継続力を強化する必要があると話していました。

 

 行政・企業間の取り組みで注目されているのが、愛知県臨海部にある豊橋市明海地区。防波堤の外に開発された埋立地(堤外地)であることから、就業者全員の安全確保を最優先とした企業連携BCPを策定しました。


 地区機能の早期復旧で生まれる共通のメリットを洗い出した上で、防災訓練を実施。今年1月、豊橋市との情報伝達訓練では、「官民連携の訓練に移行できた」「状況変化に伴う伝達情報の明確により意思疎通向上が図れた」などの成果が生まれたそうです。


 ちなみに、南海トラフ地震の影響が懸念される東海地域では、中部経済産業局が「地域連携BCP」として、企業間や行政などとの連携を推進しているところ。「個社BCPの限界を補完し、企業の事業継続力をより強化する」ことを目的に、地域全体で取組姿勢を示すことで取引先からの信頼感を高め、取引先の確保・拡大につなげていく考えです。


【写真】(一社)レジリエンスジャパン推進協議会のホームページで「レジリエンス認証」の取得団体を見ることができます


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